投資育成のなりたち
昭和30年代後半の日本経済は急速な発展を遂げていましたが、中小企業が必要な資金を返済義務がない自己資本の増強=増資で調達することは難しく、設備の近代化や経営の安定化には限界がありました。こうした状況のもと、中小企業庁は、中小企業に対する長期的な資本の直接供給体制を創設する必要性を感じ、中小企業投資育成制度構想を打ち出しました。1962(昭和37)年、中小企業庁内に設けられた中小企業基本法の制定に向けた中小企業金融懇談会において、中小企業投資育成制度を導入すべきとの結論が出され、中小企業庁において法律案要綱の作成が進められることになりました。
当初は、東京、大阪2社案でしたが、中小企業の占める割合の非常に大きな名古屋としては、東京、大阪に名古屋を加えた全国3社案が適当であるとして、名古屋商工会議所を中心に地元財界が再三再四にわたる設置運動を展開したことが大きな推進力となり、1963(昭和38)年2月22日の閣議で、東京、大阪に名古屋を加えた3社体制と政府出資6億円の枠のうち名古屋は1億円とすることが正式決定されました。そして、6月10日、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るために中小企業に対する投資等の事業を行うことを目的として「中小企業投資育成株式会社法」が制定されました。
政府出資の1億円に加え、地方公共団体、金融機関、産業界など各方面からの支援により、資本金は10億円に決まり、11月18日に設立登記が完了。日本で初となる中小企業への投資・育成機関が誕生し、11月25日名古屋市中区栄町1丁目1番地東昭ビル(現在中区錦2丁目20-29、広小路長屋町通)にて、社長以下21名で営業を開始しました。
沿革
1963(S38) | 中小企業投資育成株式会社法に基づき、資本金10億円で設立 |
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1964(S39) | 初の投資先決定 |
1971(S46) | 自社開発した「コンピュータによる経営分析」を開始 |
1977(S52) | 階層別・職種別研修会(現在の「M&T研修会」) 創設 |
1978(S53) | 株式上場企業第1号 誕生 |
1983(S58) | 資本金43億80万円に増資 |
1986(S61) | 民間法人化 |
1994(H06) | 子会社 ㈱投資育成総合研究所 設立 |
2000(H12) | 経営後継者ビジネスカレッジ 創設 |
2011(H23) | 累計投資先社数1,000社を突破 |
2012(H24) | 経営幹部実践・交流セミナー 創設 |
2019(H31) | 基本理念、経営ビジョン、経営方針、行動規範を策定 |
2023(R05) | 創立60周年 |
2024(R06) | 株式上場企業 50社に達する |